声・まっくら森

天寧煌子の詩置き場

こころの花

客人

ここは小さい穴ぐら わたしの家誰も立ち寄らないとついしょぼくれて つい寂しくついふてくされもしてそれなのにきょう あなたはていねいな物腰で穴ぐらに進みきて暖炉の前に手をかざしたりなどして椅子に腰かけてくれるその止まった背中に ほんのりこみあげ…

だるまの無言

手足なく 口のきけないだるまは 地べたをころがりながら からだで詩を吐く だるまの無言は とうといんだ (2017.7.17) ---------------------------------------------------------------------- 【ひとこと】 「地べたを這いずりながら」のほうがいいかな…

蟻の欠落

蟻は山の巨大を知った 蟻は体の小粒を知った 歌を歌えば歌うほど 歌は足りない 言葉を手繰れば手繰るほど 言葉は足りない 捻りなく ただありのままをかたどるだけが 蟻の仕事だった ときには己の住処さえ うっかり零してしまうこともあった 勢いばかりの野暮…

うめき

へたでも しろうとでも これをかかないでは いきていられなかった すごみのあるほんが みたいのです そういうほんは おくにおいやられて うまい りっぱなほんが おもてにのこっているのでは ないのですか せんそうをかたりつぐのは もちろんとてもだいじです…

推敲推敲また推敲

推敲推敲また推敲 推敲ばかりしております 一体いつになったらば 言葉はピタリ嵌まるでしょう 推敲推敲また推敲 推敲ばかりしております 何回チェック重ねても まちがい見出しまた一つ 推敲推敲また推敲 推敲ばかりしております 足し算引き算こねくって 生き…

幻の風船

壮大な 幻の風船が弾けた 中身は見事に塵芥 残るがらんに赤面の体 そうだ、そうだ、それでいい 流れ着いた終末の明日に弾けていたのでは とっても耐えられるまい、さ…… それでも昏い感傷は 懲りずに夢をみるようにできているらしい とどまるところを知らない…

無言の詩

人差し指を立てる口 秘密の言葉そのままに あなたに宛てる無言の詩 気づくや否やマスクもて 覆える胸に隠れたり (2017.2.2)

記憶の鎖

心の深手を背負ったまま 言葉を操り書くことも 歌うことも踊ることも 涙を流し悲しむことも禁じられ 空想の檻に閉じ込められて 記憶の中で自傷する君 人間らしさを奪われて 気が遠くなるほど長い年月 頭でさまよった反復の日々 どうかほんの少しずつでも 話…

知らせ

縁なき後も消しあぐねていたアドレスを 思い切って棄てた直後に知らせは来た 葬儀場に駆けつけたとき あなたは花に囲まれて 人々の涙のなかに咲いていた 長い年月見なかったその顔は 確かにあなたで 女神のように美しく 重い安らぎに胸を衝かれた 愛する人に…

わたしの中にある ふんわりしたやさしいこころを取り出して まじまじと眺めてみる やさしい、あたたかい、いとしい、やわらかい…… 握り潰してそ知らぬ顔で棄てていた きみは 一体どこに どうしていたの 忘れてしまったやさしいきみは わたしに笑みを投げかけ…

自己嫌悪

おぞましい 自分の姿を見よ そして 愛せるようになれ 無理だ 落胆しているよ、ほとほと嫌気が差してるよ いのちの根っこまで 幻滅しきっているよ そんなおぞましい自分を 「受容」なんてしなくていいから 幻滅するままに 知るんだ ほとほとあきれ果てた自分…

瞑目に花開く安息

瞑目に花開く深い蒼闇 華やかな陽光を避ける陰の溜り 青緑の草触れる音囁く涼風 人知れず止まる足跡 ここへ・・・ 不安と後悔と自責を置き 虚ろな思いを沈め埋める 壊れた悲しみを振るい 埋もれた記憶を汲み出だす 静寂に鳴る夜微笑に想溢れ満ちる安息 (201…