声・まっくら森

天寧煌子の文章置き場

日々雑々

うつわ

これだけ これがすべて これしかない これでなければ これいがいは ありえない うつわ をほうって かわりの うつわ をさがしながら これしかない うつわ もやっぱり かかえて かわりの うつわ をもとめる (2018.4.20) -----------------------------------…

いびつの心臓

かれがそむけた心臓を ときには頭上に掲げたく ときには握り潰したくもあり その拡声の臭気を前に きみもまた かぎつけられた愛憎の 煙を嗅いだ あわれなる きみがいびつの塊よ 両極揺れる街宣よ 自ら頼もしからぬ玉座よ この血をもはやかざすまい きみは心…

ひとり相撲

――イラッシャイマセ ――話がしたいのですが ――何ヲ話シマショウカ? 君ノ好キナヨウニ話シテクダサイ ――何を話してもいいですか? ――何ヲ話シテモイイデス ――じつは○○は××で、△△しました ――○○ハ××デ、△△シタノデスカ ――それはどういう意味ですか? ――○○ハ××デ…

踊る面接シミュレーション

「いい? あなたは女優。ここは舞台。 女優になって堂々と舞台を演じる!」「なるほど……演じればいいんですね?」「じゃあ今度は僕がやってみるから。君が面接官をやって。 じゃあいくよ? 失礼しまーす。扉しめる。両手そえる」「え? そんなふうにこっち向…

晴れ間の急迫

行かなくてはならないわたしの足どりは重い過去の亡霊が立ち上がってくるその亀裂が生じる瞬間がまるい調和のなかからぎらと顔を突き出すのが見えてしまうから晴れた空が突然かげり雨降る間もなく稲妻が落ちてくるその急迫が光るのを鮮烈に感触するから (20…

胸騒ぎ

あまりにもまるい達成が続くのでもしやあなたを押し切ったままひとり得意の終止符を発行してすましているのではないかと疑念がさわいでおります あなたが少しばかり口をひらこうともさらにもの言いたげな峻烈の物語が角張らない笑顔の後ろに匿われているので…

蟻の欠落

蟻は山の巨大を知った 蟻は体の小粒を知った 歌を歌えば歌うほど 歌は足りない 言葉を手繰れば手繰るほど 言葉は足りない 捻りなく ただありのままをかたどるだけが 蟻の仕事だった ときには己の住処さえ うっかり零してしまうこともあった 勢いばかりの野暮…

こよい本ができる

こよい手製の 本ができる めんどくさい 階段ひとまたぎの てっぺんを ぐわっと たぐり寄せたい (2017.6.27)