声・まっくら森

天寧煌子の詩置き場

なにがなんだかわからない

突然ぽっかり開いた穴に放り込まれる

なにがなんだかわからない

自分がどういう位置に陣取っていて

相手にどういう作用をもたらしたのか

 

困窮と違和のもみくちゃに

今にも押し潰されそうなのに

どうして一方的にあなたがたが迫ってくるのか

どうして双方向ではないのか

 

確かに 私が意思表示したんだっけか

確かに 私が進んでかかわったんだっけか

それにしても なにがなんだかわからない

人の隙間に張り巡らされた状況というやつは……

 

向こうは向こうの都合で押し込んでくる

こちらは現在地も見えずに戸惑うばかり

結局 ぜんぜんかみあっていない

結局 なんのためにそうしたのかわからない

 

そのわからないことが また伝わっていない

伝わっていないまま 表面上は和やかに

微笑ましい人助けの会議は進行する

前向きなコミュニケーションが回転する

 

かかわった私が悪いとなだめすかしても

まただ、またこの落とし穴だと

四方八方にそそり立つ壁に圧倒され

泣けない心臓がキリキリ掴まれる

 

なにがなんだかわからないことが

なにがなんだかわからない私が見えないあなた方に

なにがなんだかわかるはずがない

かくして 私はいつものように退散する

 

(2015.12.20)

『声・まっくら森』に収録