声・まっくら森

天寧煌子の詩置き場

無言の言葉

なぜ今頃になって 叫ぶのか?

在りし日の わたしの無言よ

書を遠ざけ 文字を退けて

ただ己の闘いを 耐え忍ぶだけで

尊い一日は暮れていった――

表には 緘黙をもって心を遮断し

巨大な沈黙が 荒野を満たした

 

なぜ今頃になって 語るのか?

在りし日の わたしの無言よ

書を遠ざけ 文字を退けて

発声を断念せしめた

想念の宇宙の最果てから

頑固な言葉の放擲は

無言のうちに 何を祈念していたか?

 

無言 そういう言葉だった

無言 そういう表現だった

そのようにして

無言は 自明に語られた――

 

(2017.5.16)

『声・まっくら森』に収録