声・まっくら森

天寧煌子の詩置き場

国境

おそらく君が君であろうとして

踏みしだいた足下は

僕が僕であろうとして

築いた牙城の本丸だった

 

もう幾度も 国境を定めてきたが

制止の声を聞いてか聞かずか

君は遂に 踏み越える禁忌を

なおざりにし通した

 

旗を折られた本丸の大将は

怒り狂って出陣した

この粗野な闖入者を

永遠に侵入禁止にするため

結んだ手を引きちぎった

大将を駆り立てた力は

おそらく君の踏みしだく力と

同じ類いのものだった

のに

 

  君ガ協定ヲ

  守ッテクレナカッタカラ

  泣ク泣ク僕ハ……

 

おそらく君が君であろうとして

踏みしだいた足下は

僕が僕であろうとして

築いた牙城の本丸だった

おそらく もう確かめる術がないからおそらく

 

君よ 次は君の寂しい力を

かたちよく引き受けてくれる

風で さいわいであれ

 

(2017.6.14)