声・まっくら森

天寧煌子の詩置き場

屠る歌

びりびりに引き裂いて散らばった嘆きを
ゴミ箱に屠る手をためらい
胸に抱えてもう一度抱きしめる
紙屑の端にはちぎれた無数の文字が
名残惜しげに繊維のうえにうごめいた

 

――いやだめだ お前は片輪だ
間引きされる定めの子
日陰を歩む斜陽の嘆き
見たろう かれの素通りする足を
一瞥もくれない乾いた目を
だからその紙屑も後生大事に抱えてないで 肥溜めへ
ひといきにぶちこんでしまえ
陳列台から一つ残らず薙ぎ払い
マッチをつけて燃やしてしまえ
大空へ放り投げ太陽にくべろ
何ひとつ残すな
すべて すべてをだ

 

おお この反転!
愛するうたよ お前はいまや
価値を失った
おお 愛する嘆きよ
きみの瞳に映らない お前など無用だ
愛するお前を 憎まねばならぬこの無残を
愛するお前を 世界で最も忌まわしいものとして
指先でつまむ この震える手を
私は決して忘れまい

 

(2017.7.17)

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【追記】

展示で嫌なことがあって、落ち込んでいたのですが、

吐き出した詩を見ていると落ち着いてきました。

 

これでお前を

救出することができたろうか?

よし よし すすんでゆけ。