声・まっくら森

天寧煌子の詩置き場

表出vol.1 声 まっくら森レポート

 2017年7月15日(土)~7月23日(日)、池田町の土川商店「場所かさじゅう」にて表出vol.1 声 まっくら森が開催されました。f:id:amanekouko:20170726220805j:plain


 以下は、出品者の一人・天寧煌子目線のドキュメントです。ほぼ日記的内容になっています。

 

◆7月15日(土)
今回、天寧がメインに出す作品の意図とテーマ「まっくら森」の理念にズレがあったという事情もあり、あまり乗り気でないところからスタート。
どうせ誰も来ないだろう……と思っていたら、朝から盛況の模様。
出ル杭のクマさんの関係者Tさんに詩集もポストカードもたくさん買っていただいた、ありがたい。
この日の来場者は、クマさん関係者が多かったようだ。
ありがたいが、持ち上げられるのは苦手(それで帰宅後、「花壇の物語」を書く)。
客足が、一緒に展示しているオカムラさんのインパクトの強い書に吸い寄せられる。
穴ぐらの奥にある叫びは表通りのパレードにかき消されてしまうのか、とショック。

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 オカムラさんの作品はインパクト大。

 

◆7月16日(日)
正午、案内を出したIさんとKさんが来たと連絡あり。
冊子の増刷に追われていたので、昼過ぎまで待ってもらう。
Iさん・Kさんと顔合わせ。そこへEさんも加わる、さらに夕方Nさんも。
クマさんが中心で詩を朗読してくれる。
こんな「ろくでな詩」を手にとって読んでくださるなんて、しかも神妙に聞いてくださるなんて……感無量。
読者が前にいて大変ありがたい、充実した一時。
Nさんは私と同じ当事者。自己表現に困難がある方だが、同じ感性を持っている。
早速wordで打ち出した「歌壇の物語」を壁に貼る。

 

◆7月17日(月)
ポストカードが12枚売れる。
以前、一度相談に乗っていただいた精神保健関係者のHさんが来てくれた、とてもありがたかった。
無理に来させてしまったかもと思うと、少々心苦しい。
これまで語れなかった体験を打ち明けることができた。
神妙に聞いてくださって嬉しかった、泣いてしまった(Hさんの前では自然と無防備になってしまう)。
その静かな横顔が強く印象に残った。
しかしその後、自分を訪ねてきた人以外の客の無視が続いてこたえる。
一生懸命に趣旨を説明するが、ぬかに釘。
社会に訴えたい一番大事なエッセンスが素通りされる。
控室で吉本隆明の「転位のための十篇」「定本詩集Ⅳ」を読む、とても身につまされる。
ノートに詩の素になる言葉を書きためる。
もう、ここに来たくはない(モチベーションダウンが早い!!)。
この感じを詩にせずして明日から来ることはできないだろう。
帰宅後、展示以前の過去の体験も絡めながら「屠る歌」を書く。
いろんな体験や感情をミックスして詩にしているので、多少フィクション化している。
書き上げると落ち着いた。

 

◆7月18日(火)
昼過ぎにU夫妻が来るとわかっているのに、会場に行く憂鬱からだんだん足まで重くなってしまって、身体がなかなか動かない。
ああ、行きたくないとしぶっている間に、もう着いたと連絡あり。急いで車を走らせる。
重度障害を負ったUさんと夫人。密度の濃い大人物と語れる嬉しさ、充実した一時。
U夫妻の話は毎度勉強になる。背筋がシャキッとするし、頭も下がる。

クマさんを訪ねてきた政治家のW氏はさすがに口が達者。

平日なのに詩集が8冊、ポストカード15枚はける。お愛想ではなかろうか……?

帰宅後、今回発表した詩に書いた体験事情を知っており、以前熱心に相談に乗ってくださっていたYさんが、17日の午前に来ていたとメールで知る。
詩の内容がダイレクトに伝わったと感じた第一人者、感激する。
帰宅後、U夫妻やHさんを思い浮かべながら「胸騒ぎ」を書く。

 

◆7月19日(水)
気が塞いで、本格的に、ものすごく、行きたくない……。足が重い、重すぎる。
午前、Iさんからクマさんへ、20日(木)と21日(金)に、Iさんの文学仲間が来ると連絡あり。
夕方、××NPO法人ののJさんが来る。
ふだんあまり話さないJさんが自分のことを語ってくれた、私も現状に至ったわけを話せたのがとても嬉しい。

こういう場でないと話す機会がなかった。
××NPO法人にポストカードを渡す、自作のふざけた内容の短編小説を渡しそびれた。
Eさんが知人に展示の内容を紹介してくれた。
帰宅後、「晴れ間の急迫」を一気に書く。
「穴ぐらと重力」も書き進める。
この風刺的な作品を仕上げれば、心の支えになり、展示を乗り切ることができるだろう。

 

◆7月20日(木)
あと何日あるのか? 相変わらず足が重くて仕方ない。
Iさんの文学仲間ら(私は知らない)が既に帰った後。
Tさんからの詩集の感想文をいただく。
精神保健関係のEさん、続いてMさんが来る。
落ち着かなそう、こちらの雑談がうまくなくて申し訳ない。
あ、詩集の日記の部分を読んでくれた、しかも買ってくれた。
ありがたいけど、なんだか申し訳ない。
帰宅後、Tさんの感想文を読む。
初めて読者からの本格的な感想をいただいた。
内容がいっちゃってる……一人ニヤニヤ。
帰宅後、Hさんの横顔を思い浮かべながら「客人」を書く。

 

◆7月21日(金)
相変わらず足が重い……。
Tさんが来るというので、なんとか昼過ぎ出動。
精神保健関係のAさんが来ており、嬉しかった。
あの界隈に失望しそうになっていたので、まだ見切りをつけるのは早いかもしれないと思い直した。
Aさんに「客人」を見せると「そういうふうに作品を読んでいた」と言われ、作品を見てくれる人も丁寧に見なければと目が覚めた心地に。
人への不信感のいくらかをAさんがぬぐってくれた。
もう落ち込んでいる場合ではない、作品を読んでくれる人をスケッチするのに忙しいと立ち直ってきた。

Aさんのおかげだ。
Tさんに感想文の「真意」を確認する。
帰宅後、会期中に書いた詩の推敲を重ねて一冊の冊子にする(後述)。

 

◆7月22日(土)
クマさんがお疲れ、早退される。
土川商店のワークショップに来ていたNさんと初めて話す。
同苦の能力を持っているなあ、深い人間性が全身からにじみ出ているなあと感心した。
とても情感のこもった声で詩を朗読していただく、ありがたい。
近しい人の悲劇を語っていただいた。
ああまっくら森だ、とても姿勢が正される。
Gさんが来る。ようこそ。
多くの精神障害の人とかかわってきたせいか、初対面でわりと深いところまで相手を理解できる自分がいる。
中学時代の同級生Sさんが来る、5年ぶり? 近親者の悲劇の話が強く心に残る。
悲劇を背負った人に同苦する。
この日は一番濃密で勉強になった。

 

◆7月23日(日)
昼出動したら、詩集が売り切れていた、ありがたい。
クマさんもオカムラさんもみな疲れている。
会場内を一眼レフカメラで撮りまくる。オカムラさんの作品も撮る。
カメラマンの人が来ていて、黒っぽい絵を撮影する方法を教えてもらう。
絞りきるように客足が続く。
障碍障碍といわないほうがいいというご指摘、何人かから。
今は書かないが、異論あり。
人一倍孤独癖が強いのに、関係の門戸を開放しすぎた。
あと1年ぐらいは誰とも話したくない心境だ……。
会期終了、片付け。

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 以上の内容を、「展示会場即興スケッチ小詩集」にまとめました。
 会期中に書いた、
「花壇の物語」
「屠る歌」
「胸騒ぎ」
「晴れ間の急迫」
「穴ぐらと重力」
「客人」
に、「はじめに」と「あとがき」がついて一冊になっています。
 ただし、もう会期は終了したので、私の知人しか入手する手立てはありません。
 こういうのをつくったという報告のため、写真を載せておきます。

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 乗り気でないまま展示が始まって、足が重い重いとぐずっている間に、毎日のように、というかまさに毎日、誰かが訪ねてきてくださいました。ふだんあまりにも没交渉すぎるので……数年のコミュニケーションを数日で済ませた気分です。
 文学仲間に詩集を広めてくださったIさん。
 遠路はるばる足を運んでくださったKさん。
 作品に書いた過酷な体験中に情熱的に相談に乗ってくださったYさん。
 重度障害を負いながらしなやかに生きて、人生の奥深さを教えてくださるU夫妻。
 読字に困難があるのに、詩集を読もうとしてくださったEさん。
 自分の内面を語ってくださった××NPO法人のJさんとGさん。
 読者の後ろ姿を見せてくださったAさん。
 真摯に打ち明け話を聞いてくださったHさん。
 詩集の面白い感想文をくださったTさん。
 過酷な体験を打ち明けてくださったSさんとNさん。
 さらに初対面で詩集や小冊子を買っていただいた方、目立たない「穴ぐら」のような詩の展示スペースに足を踏み入れ作者の「声」を聞いていただいた方に、心から感謝を申し上げます。
 また「場所かさじゅう」の居心地よい雰囲気を提供してくださった土川さん、PROJECT・出ル杭のメンバー オカムラさんの精神力、クマさんの人と人をつなぐ心づくしによって「表出vol.1 声 まっくら森」が成立したのは間違いありません。
 重ねて感謝を申し上げます。

 

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直接ハガキを出させていただいた方以外にも感謝の気持ちをお伝えしたくアップロードします。