声・まっくら森

天寧煌子の文章置き場(主に詩)

終わりの始まり ―ドナ・ウィリアムズに贈る―

あなたを知ったとき
わたしと思った
あなたはわたし

 

それから
あなたの示したわたしを探しに
旅立っていった
遠くへ 遠くへ……

 

わたしがわたしになる
大地を見つけたとき
わたしを知らない
あなたに橋をかける
明日がくるかもしれないと
道を急いだ

 

けわしく終わりのない風雪は
歩む足をとどめた
休息の天幕で
あなたを呼び寄せなかった
色彩が染みるから

 

旅はどうにか道半ばまできたとき
何かが光った
あなたの至高の結晶が
姿を顕したのをわたしは見た
ついにわたしは知った
あなたはわたしではない
違うということが
わたしの現し身だった

 

ちょうどそのとき
一陣の知らせが吹いた
あなたを呼び寄せなかった日
あなたはいなくなっていた
すでに 橋をかける前に
永遠に

 

あなたの遺言は
わたしを象っている陰影を照らした
あなたにはなれずとも
わたしは陰影を描き出すだろう
もう橋はかけられない
そのことが橋になる
あなたはもういない
そのことがわたしとあなたの
はじまりとなる

 

ドナ わたしはまだここに……
ドナ わたしはまだここから……

(2019.1.19)