地底の声

天寧煌子の文章置き場(主に詩)

詩「ひきこもり四字熟語」

以下は、最近できた自家製本を、あるひきこもり支援者に見せた時のやりとりです。 アゴウさんと6年ぶりに再会 ひきこもりサポーター養成講座に出るため、××センターに向かう途中、堤防沿いの道路で工事をしていて迂回させられた。早めに到着してアゴウさん…

詩は、文学は、すべてウンコだというのか…!【詩】私の詩なぞ

詩を書いているFさんから電話がかかってきた。 「ウンコの詩、××誌に載せていい?」 「えぇ!?」 ウンコの詩とは、私が自分の詩をクソみたいに厭う感情から生まれた「私の詩なぞ」という作品。 あまりにもひどいので、とても人様にお見せできないお蔵入りの詩…

白紙

なぜこんな自分になったのか。 なぜ行き詰ってしまったのか。 「白紙」の中で、自分と語り合いました。 【白紙】 まっさらな紙のうえに まったく我が意思にまかせられている 流れるリズムのないままに しいんとひとりで 居場所ある者はさいわいと 君は言った…

自分の世界を描いた詩「大いなるものへ」

このブログはほとんど見ている人がいないので、気が乗らず放置していたのですが、半年ぶりに更新します。 私の世界 このエピソードはいずれ私のもう一つのブログで書きたいですが、中学1、2年生の時、突然強烈な自我が芽生え、「自分の世界」をもったこと…

鍵を知る者 ―ドナ・ウィリアムズに贈る―

鍵を知る者よ 教えてほしい わたしがなぜここに 繋ぎ止められているのか 母なる器 痩せ果てた大地の封印に 縛めを解く 型はどこに 秘匿されているのか ――組み敷かれた魔方陣 ――解けない鍵穴 ふたつでひとつのからくり 片割れを抱えている あの雲に 差し伸べ…

普遍プレッシャーで詩が書けない

詩が書けないいぃぃぃぃーーーーッ 書けないのは、前の記事「ほんとうのこと」で書いた身元が割れるという理由と、 普遍プレッシャーです。 谷川俊太郎の ↓ のことばは、私の中で、仏教者・小池龍之介の口調を借りると 「詩は人類の宇宙的普遍を書くべきであ…

『踏まないで!』第11章 高木さんとの対話

※この原稿は、現在執筆中の手記『踏まないで!』の一部分です。 新ブログ ↓ にも投稿しました。 roots-amanekouko.hatenablog.jp 1 梅雨の季節真っ最中で、雨が降り続き、蒸し暑い空気が肌にまとわりついていた。二〇××年六月末日。毎月、石津宅で行われて…

『踏まないで!』序章から 「落日」

※この原稿は、現在執筆中の手記『踏まないで!』の一部分です。 新ブログ ↓ にも投稿しました。 roots-amanekouko.hatenablog.jp 二〇××年一〇月のある日、Jワークスの機械室で、私は何度目かのパニック発作にのみ込まれていた。 そこは、無機質なコンクリ…

かなしい蟻

かなしい蟻よ どこまで登る 山の頂 いよいよそびえ 足下の土 ぽろぽろ落ちる かなしい蟻よ それでも行くか はためくしるし いよいよ遠く 地は天のもと 引き離される かなしい蟻よ しりもちついて よいこらしょっと 立ち上がるなり 再び細い 足を差し出す か…

終わりの始まり ―ドナ・ウィリアムズに贈る―

あなたを知ったときわたしと思ったあなたはわたし それからあなたの示したわたしを探しに旅立っていった遠くへ 遠くへ…… わたしがわたしになる大地を見つけたときわたしを知らないあなたに橋をかける明日がくるかもしれないと道を急いだ けわしく終わりのな…

記憶の塔

怒濤の保存が行く手をさえぎり執念の塔となってそびえ立った (日記四九冊) (素描三四冊) (生活二一冊) (会話一七冊) (研究八冊) 記憶×××冊オドロオドロシイグチャグチャのシドロモドロシイメチャクチャがわたしを救い出してと絡みついて覚え違いが…

修羅の祈り

わたくしは争いに明け暮れました十字架の重みにひしがれて遂にひらたい原生動物となり地べたを這いずっております見下ろすことのない一つの目は固定された視界で 局限された風景を眺めるしかございません灯台よ あなたはその明晰な眼光で空からわたくしのう…

手紙

こんなひとりごとをかいてるひまがあったらきみに つたえることばをさがさなければならないのにみつからないからばこにてをつっこんだままみつからないみつからない とてがみのうらにかいている (2018.1.29) --------------------------------------------…

野暮楽士

出馬遅れて詩学の徒学び舎なき身独善の伊呂波も知らぬ野暮楽士我流きわまる作詩法奇計無策の赤っ恥根源なるは苦悩なり読者方には恐れ入る癒しも喰わぬ排泄歌 (2018.9.19) ------------------------------------------------------------------------------…

ほんとうのこと

美しい夢や、幻想や、願望や、一瞬のイメージを書くことにあまり興味はない(自分の作品の中にはそういうものがなくはないが)。私にとって、それは絵筆の役割だ。 文章には、「本当のこと」を求める。真実を見たいし、書きたい。 私は脚色が苦手で、「本当…

別れ

一人の客が主人の店を訪れた 往来に面したショーウインドウには 色とりどりの商品が着飾って 見目麗しい愛想を振りまく 客人は百花の陳列に目を奪われ 弾んだ歓声を上げて ウインドウの端から端を行ったり来たり ここにあるのは主人の生き写しと 無邪気に微…

うつわ

これだけ これがすべて これしかない これでなければ これいがいは ありえない うつわ をほうって かわりの うつわ をさがしながら これしかない うつわ もやっぱり かかえて かわりの うつわ をもとめる (2018.4.20) -----------------------------------…

出現

魅せられるままの導きは 転がる種に絨毯を敷いて 大地に錨を降ろした 地面に空に 繁茂する 無数の根 のびる枝 ふえる葉 蔦はからまり 苔まで生えた あの木になることも その木になることも できたのに 木はこの地に姿を現し 種の転がる先を果てまで描いて 深…

いびつの心臓

かれがそむけた心臓を ときには頭上に掲げたく ときには握り潰したくもあり その拡声の臭気を前に きみもまた かぎつけられた愛憎の 煙を嗅いだ あわれなる きみがいびつの塊よ 両極揺れる街宣よ 自ら頼もしからぬ玉座よ この血をもはやかざすまい きみは心…

ひとり相撲

――イラッシャイマセ ――話がしたいのですが ――何ヲ話シマショウカ? 君ノ好キナヨウニ話シテクダサイ ――何を話してもいいですか? ――何ヲ話シテモイイデス ――じつは○○は××で、△△しました ――○○ハ××デ、△△シタノデスカ ――それはどういう意味ですか? ――○○ハ××デ…

きみがいなくなったら

愛する人が死んだときは死なねばならぬと むかし愛した詩人がいった もし きみがぼくを置いて どうしてもぼくのなかから消えるというなら ぼくはぼくをくびるかわりに きみをこの手に生み出しましょう どこにもいないきみのうたを ぼくのうちに咲かせましょ…

遠いうた

世界の片隅から呼びかける虚しい願いはこだまする届いても届かなくても声をかぎりに歌っていた 消え入る祈りに絶望と透明な涙が混じる決して返ってくることのない声決して報われることのない声 人に祈ると黙られるその法則をいつ知った?神様ではないのだか…

カンテラ

巌(いわお)が影に沈む闇黒(あんこく)の洞窟の奥、奥、そのまた奥深くーー道の尽きた壁に肉厚に隆起した透明の膜を着膨れてしじまに鎮座する異形の塊――それがわたし 君よ カンテラに灯をともしその手に掲げ持てそうして黒く染まった足下を明らかに照らし…

踊る面接シミュレーション

「いい? あなたは女優。ここは舞台。 女優になって堂々と舞台を演じる!」「なるほど……演じればいいんですね?」「じゃあ今度は僕がやってみるから。君が面接官をやって。 じゃあいくよ? 失礼しまーす。扉しめる。両手そえる」「え? そんなふうにこっち向…

ニコン全消去の悲劇

撮って撮って撮りまくったニコンデジタルカメラの愛蔵データがすべて――消え去った。二千枚近くはあったろうか。 消去したい画像を表示させて機械右下の削除ボタンを押すと、ディスプレイ上に、上段に「表示画像」、中段に「 削除画像選択」、下段に「全画像…

『拒食症の家』を読んで

『拒食症の家』吉川宣行著、1998年発行、EPIC 日本自分史センターにて、詩「うめき」と同じ内容を職員に訴えて、閉架書庫から出してもらった自分史。一読してこれは凄い、入手したいと願う大満足の本だった。 家族との葛藤を通して、少女が拒食症になってい…

表出vol.1 声 まっくら森レポート

2017年7月15日(土)~7月23日(日)、池田町の土川商店「場所かさじゅう」にて表出vol.1 声 まっくら森が開催されました。 以下は、出品者の一人・天寧煌子目線のドキュメントです。ほぼ日記的内容になっています。 ◆7月15日(土)今回、天寧がメインに…

客人

ここは小さい穴ぐら わたしの家誰も立ち寄らないとついしょぼくれて つい寂しくついふてくされもしてそれなのにきょう あなたはていねいな物腰で穴ぐらに進みきて暖炉の前に手をかざしたりなどして椅子に腰かけてくれるその止まった背中に ほんのりこみあげ…

穴ぐらと重力

薄暗い穴ぐらの奥まった 最も深い底の底 そこにわたしは置いてきた 窮迫したこわもての告訴状 かれらと千切(ちぎ)れた たったひとつの千言を どうしてもかれらに届けなければならない いちばん尊い言伝(ことづて)を だがかれらの歩幅は大きく その歩調は早す…

晴れ間の急迫

行かなくてはならないわたしの足どりは重い過去の亡霊が立ち上がってくるその亀裂が生じる瞬間がまるい調和のなかからぎらと顔を突き出すのが見えてしまうから晴れた空が突然かげり雨降る間もなく稲妻が落ちてくるその急迫が光るのを鮮烈に感触するから (20…