地底の声

世の中からズレてる人の書いたもの(詩・エッセイ・日記など)

2017-06-12から1日間の記事一覧

詩:ずぶといひと

ずぶといひとよ お前はとうとう勝利をおさめるのか お前たちのなかには微笑ましい者もいて ずいぶん憧れもした、手を伸ばそうともした けれどもお前とはけんけんがくがく どうにかこうにか接地点を探っていたものだが その片手はとうとう勝ち誇ったように 一…

詩:イジワル

わたしはイジワルだった どんなに尊敬されようとも 実はわたしはイジワルだった 確かにあなたはドンヨリ鈍い、昏い、疎い それゆえにこれっぽっちも心打たず それゆえにわずらわしくて イジワルしちゃった どんなに謝っても謝りきれない 額を地面にこすりつ…

詩:これっぽっちのさいわい

ふと 命綱を切り離した 白く照らし出された地上に満ちる禍(わざわい)は 無関係のまま皮膚に調和した 昔は幸せでも不幸せでもなかった 路傍の刹那は ありのままでいられると 凱歌を放った ふと 命綱を切り離した 白く照らし出された地上に満ちる禍は しばしの…

詩:罠

まったくえらい目に遭った 規則正しく折り目正しく 生活していたはずなのに こんな罠があったとは まったくえらい目に遭った 体調リズム気遣い万全 抜かりなかったはずなのに 藪から棒につかまった まったくえらい目に遭った しばし休憩してからさてと 波に…

詩:記憶の鎖

心の深手を背負ったまま 言葉を操り書くことも 歌うことも踊ることも 涙を流し悲しむことも禁じられ 空想の檻に閉じ込められて 記憶の中で自傷する君 人間らしさを奪われて 気が遠くなるほど長い年月 頭でさまよった反復の日々 どうかほんの少しずつでも 話…

詩:知らせ

縁なき後も消しあぐねていたアドレスを 思い切って棄てた直後に知らせは来た 葬儀場に駆けつけたとき あなたは花に囲まれて 人々の涙のなかに咲いていた 長い年月見なかったその顔は 確かにあなたで 女神のように美しく 重い安らぎに胸を衝かれた 愛する人に…

詩:声

わたしの中にある ふんわりしたやさしいこころを取り出して まじまじと眺めてみる やさしい、あたたかい、いとしい、やわらかい…… 握り潰してそ知らぬ顔で棄てていた きみは 一体どこに どうしていたの 忘れてしまったやさしいきみは わたしに笑みを投げかけ…

詩:なにがなんだかわからない

突然ぽっかり開いた穴に放り込まれる なにがなんだかわからない 自分がどういう位置に陣取っていて 相手にどういう作用をもたらしたのか 困窮と違和のもみくちゃに 今にも押し潰されそうなのに どうして一方的にあなたがたが迫ってくるのか どうして双方向で…

詩:自己嫌悪

おぞましい 自分の姿を見よ そして 愛せるようになれ 無理だ 落胆しているよ、ほとほと嫌気が差してるよ いのちの根っこまで 幻滅しきっているよ そんなおぞましい自分を 「受容」なんてしなくていいから 幻滅するままに 知るんだ ほとほとあきれ果てた自分…

詩:誤解

「なんともない」よう取り繕った技巧の数々が 「目立たぬ」よう塗りたくった保護色の数々が 「人並みになる」よう蓄積した知識の数々が 「悪いところを直す」よう訓練した反射神経の数々が 「まともになる」よう刻苦精励した経験値の数々が ふつうを演じた手…

詩:瞑目に花開く安息

瞑目に花開く深い蒼闇 華やかな陽光を避ける陰の溜り 青緑の草触れる音囁く涼風 人知れず止まる足跡 ここへ・・・ 不安と後悔と自責を置き 虚ろな思いを沈め埋める 壊れた悲しみを振るい 埋もれた記憶を汲み出だす 静寂に鳴る夜微笑に想溢れ満ちる安息 (201…

詩:ほんとは君を恨んでいるんだ

怒りの炎に鎮魂を 微かな火の粉は消滅しても 握りつぶした業火は 掌から放たれ再び羽ばたく 君たちに注ぐ穏やかな眼差し 目の奥に眠る揺るがぬ記憶 気づけば内向いて打ち殺す 憎き自分に制裁を・・・ 握りつぶした業火は 再び燃え盛り鞭を捕る 「ほんとは君…

詩:barrier

barrierが邪魔をするんだ 僕の前に 自分を守るために囲い込んだ 皮膚と生理が蛹のように覆った 冷たく硬い殻 barrierが足りないんだ 僕のまわりに 溢れる音を拾い集め調節し 肉体と精神を脅かすものから 均衡を保つ把手 barrierが重いんだ 僕の心に 不安と恐…

詩:世界

巨大なうねりが追いついて 身体を包み込んだけど 私に触れることはできない 閉ざされた2つの扉 帰ろうときびすを返す でももうそこには何もない 見捨てられた赤子のように まっさかさまに落ちていく "はざまの世界"へ・・・ ありのままにあるうねり ぼやけ…