地底の声

世の中からズレてる人の書いたもの(詩・エッセイ・日記など)

2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

詩:悪の糸

アンタが悪い んじゃない こんがらがった糸が 悪いんだ (2017.6.29)

詩:蟻の欠落

蟻は山の巨大を知った 蟻は体の小粒を知った 歌を歌えば歌うほど 歌は足りない 言葉を手繰れば手繰るほど 言葉は足りない 捻りなく ただありのままをかたどるだけが 蟻の仕事だった ときには己の住処さえ うっかり零してしまうこともあった 勢いばかりの野暮…

詩:こよい子ができる

こよい手製の 子ができる めんどくさい 階段ひとまたぎの てっぺんを ぐわっと たぐり寄せたい (2017.6.27)

詩:うめき

へたでも しろうとでも これをかかないでは いきていられなかった すごみのあるほんが みたいのです そういうほんは おくにおいやられて うまい りっぱなほんが おもてにのこっているのでは ないのですか せんそうをかたりつぐのは もちろんとてもだいじです…

詩:カインのしるし

地を伝えば石礫 宿を守れば震源地 額に刻まれた カインのしるしのために わざわいは招き寄せられ わざわいから守られる このしるしあればこそ

私の詩について

「汚れ役」 昼の憧れ 鈴のように歌い 喜びの音を 軽やかに鳴らす しかし絵筆は それ以上の仕事をしてはくれない わがことにあらずと そっぽをむく 夜の苦しさ 心の澱にうごめく闇を すくい取るのは きまって言葉の役目 絵筆の放棄した仕事を 拾っては投げつ…

詩:国境

おそらく君が君であろうとして 踏みしだいた足下は 僕が僕であろうとして 築いた牙城の本丸だった もう幾度も 国境を定めてきたが 制止の声を聞いてか聞かずか 君は遂に 踏み越える禁忌を なおざりにし通した 旗を折られた本丸の大将は 怒り狂って出陣した …

詩:無言の言葉

なぜ今頃になって 叫ぶのか? 在りし日の わたしの無言よ 書を遠ざけ 文字を退けて ただ己の闘いを 耐え忍ぶだけで 尊い一日は暮れていった―― 表には 緘黙をもって心を遮断し 巨大な沈黙が 荒野を満たした なぜ今頃になって 語るのか? 在りし日の わたしの…

詩:推敲推敲また推敲

推敲推敲また推敲 推敲ばかりしております 一体いつになったらば 言葉はピタリ嵌まるでしょう 推敲推敲また推敲 推敲ばかりしております 何回チェック重ねても まちがい見出しまた一つ 推敲推敲また推敲 推敲ばかりしております 足し算引き算こねくって 生き…

詩:無言の詩

人差し指を立てる口 秘密の言葉そのままに あなたに宛てる無言の詩 気づくや否や鎧もて 覆える胸に隠れたり (2017.2.2)

詩:十方塞がりを描いた結末

四方八方ならぬ十方塞がりの ドウにもコウにも方途がつかぬ 行き詰まりのこの現状を 忠実に描き出したいと願ったが 掘りあてる言葉は当然ながら 希望のきらめく余地のない 圧迫した様相であったとさ みんなみんな望みがほしい その歌は市井に顧みられず ここ…

詩:ずぶといひと

ずぶといひとよ お前はとうとう勝利をおさめるのか お前たちのなかには微笑ましい者もいて ずいぶん憧れもした、手を伸ばそうともした けれどもお前とはけんけんがくがく どうにかこうにか接地点を探っていたものだが その片手はとうとう勝ち誇ったように 一…

詩:イジワル

わたしはイジワルだった どんなに尊敬されようとも 実はわたしはイジワルだった 確かにあなたはドンヨリ鈍い、昏い、疎い それゆえにこれっぽっちも心打たず それゆえにわずらわしくて イジワルしちゃった どんなに謝っても謝りきれない 額を地面にこすりつ…

詩:これっぽっちのさいわい

ふと 命綱を切り離した 白く照らし出された地上に満ちる禍(わざわい)は 無関係のまま皮膚に調和した 昔は幸せでも不幸せでもなかった 路傍の刹那は ありのままでいられると 凱歌を放った ふと 命綱を切り離した 白く照らし出された地上に満ちる禍は しばしの…

詩:罠

まったくえらい目に遭った 規則正しく折り目正しく 生活していたはずなのに こんな罠があったとは まったくえらい目に遭った 体調リズム気遣い万全 抜かりなかったはずなのに 藪から棒につかまった まったくえらい目に遭った しばし休憩してからさてと 波に…

詩:記憶の鎖

心の深手を背負ったまま 言葉を操り書くことも 歌うことも踊ることも 涙を流し悲しむことも禁じられ 空想の檻に閉じ込められて 記憶の中で自傷する君 人間らしさを奪われて 気が遠くなるほど長い年月 頭でさまよった反復の日々 どうかほんの少しずつでも 話…

詩:知らせ

縁なき後も消しあぐねていたアドレスを 思い切って棄てた直後に知らせは来た 葬儀場に駆けつけたとき あなたは花に囲まれて 人々の涙のなかに咲いていた 長い年月見なかったその顔は 確かにあなたで 女神のように美しく 重い安らぎに胸を衝かれた 愛する人に…

詩:声

わたしの中にある ふんわりしたやさしいこころを取り出して まじまじと眺めてみる やさしい、あたたかい、いとしい、やわらかい…… 握り潰してそ知らぬ顔で棄てていた きみは 一体どこに どうしていたの 忘れてしまったやさしいきみは わたしに笑みを投げかけ…

詩:なにがなんだかわからない

突然ぽっかり開いた穴に放り込まれる なにがなんだかわからない 自分がどういう位置に陣取っていて 相手にどういう作用をもたらしたのか 困窮と違和のもみくちゃに 今にも押し潰されそうなのに どうして一方的にあなたがたが迫ってくるのか どうして双方向で…

詩:自己嫌悪

おぞましい 自分の姿を見よ そして 愛せるようになれ 無理だ 落胆しているよ、ほとほと嫌気が差してるよ いのちの根っこまで 幻滅しきっているよ そんなおぞましい自分を 「受容」なんてしなくていいから 幻滅するままに 知るんだ ほとほとあきれ果てた自分…

詩:誤解

「なんともない」よう取り繕った技巧の数々が 「目立たぬ」よう塗りたくった保護色の数々が 「人並みになる」よう蓄積した知識の数々が 「悪いところを直す」よう訓練した反射神経の数々が 「まともになる」よう刻苦精励した経験値の数々が ふつうを演じた手…

詩:瞑目に花開く安息

瞑目に花開く深い蒼闇 華やかな陽光を避ける陰の溜り 青緑の草触れる音囁く涼風 人知れず止まる足跡 ここへ・・・ 不安と後悔と自責を置き 虚ろな思いを沈め埋める 壊れた悲しみを振るい 埋もれた記憶を汲み出だす 静寂に鳴る夜微笑に想溢れ満ちる安息 (201…

詩:ほんとは君を恨んでいるんだ

怒りの炎に鎮魂を 微かな火の粉は消滅しても 握りつぶした業火は 掌から放たれ再び羽ばたく 君たちに注ぐ穏やかな眼差し 目の奥に眠る揺るがぬ記憶 気づけば内向いて打ち殺す 憎き自分に制裁を・・・ 握りつぶした業火は 再び燃え盛り鞭を捕る 「ほんとは君…

詩:barrier

barrierが邪魔をするんだ 僕の前に 自分を守るために囲い込んだ 皮膚と生理が蛹のように覆った 冷たく硬い殻 barrierが足りないんだ 僕のまわりに 溢れる音を拾い集め調節し 肉体と精神を脅かすものから 均衡を保つ把手 barrierが重いんだ 僕の心に 不安と恐…

詩:世界

巨大なうねりが追いついて 身体を包み込んだけど 私に触れることはできない 閉ざされた2つの扉 帰ろうときびすを返す でももうそこには何もない 見捨てられた赤子のように まっさかさまに落ちていく "はざまの世界"へ・・・ ありのままにあるうねり ぼやけ…

詩:limit

溢れる刺激が手のひらを超え 容器の目盛を突き破る 一つ、二つ、三つ・・・ 縦横無尽の熱気揺らぐ昼刻 満ち零れた信号 乱れる均衡に陰る鮮やかさ 手招きする惑乱に目を汚す ひとつところに癒着する意識 固定する視線が高見の旗を狂わせる 混沌の渦に崩れた片…

詩:実在発現病的顕在

お前の上に落としてやる 忘れられないんだろう? だったら爆弾にもなるさ 信じるからこそ見てるのさ 実在発現心夢想病的顕在 避け隠れるようになったね どこまで逃げるつもり? 雷はいつ何時でも降り注ぐ 誰にも見えない存在の幻を お前自ら輪郭を与えている…

詩:反復の安楽と葛藤

生まれたときからここにいた 同じ道順を行ったり来たり あちらこちらに自分の足跡 両側にそびえる壁は 安楽の砦を築いていた 蟻の行列のように 列から外れることはできない 同じ道筋しか歩けない 自分の足跡が踏みしめられた 永遠の反復と往復の快楽 それで…

詩:自分だけの、ただ自分だけの課題

見るも触るもおぞましいのは いつでも自分のみにくい傷口 自分だけが抱えなければいけない「課題」 その場しのぎでかわすこともできるけど 影は必ず追いすがり立ちはだがってくる クリアーしたら次の新手があらわれる 大なり小なりそのつど程度は違うけれど …

詩:遭難者のわがまま

まな板の上の魚をさばく手つきで 君は器用に問題を分析して 誤りのない正しい道を指し示した そのとおりだとわかっているから 大人しく引き下がって対策を立てよう でも忘れないでくださいね 流れた涙のあることを 地図に引かれた線路のうえに 走る列車の列…