地底の声

世の中からズレてる人の書いたもの(詩・エッセイ・日記など)

2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

表出vol.1 声 まっくら森レポート

2017年7月15日(土)~7月23日(日)、池田町の土川商店「場所かさじゅう」にて表出vol.1 声 まっくら森が開催されました。 以下は、出品者の一人・天寧煌子目線のドキュメントです。ほぼ日記的内容になっています。 ◆7月15日(土)今回、天寧がメインに…

詩:客人

ここは小さい穴ぐら わたしの家 誰も立ち寄らないと ついしょぼくれて つい寂しく ついふてくされもして それなのにきょう あなたは ていねいな物腰で穴ぐらに進みきて 暖炉の前に手をかざしたりなどして 椅子に腰かけてくれる その止まった背中に ほんのり…

詩:穴ぐらと重力

薄暗い穴ぐらの奥まった 最も深い底の底 そこにわたしは置いてきた 窮迫したこわもての告訴状 かれらと千切(ちぎ)れた たったひとつの千言を どうしてもかれらに届けなければならない いちばん尊い言伝(ことづて)を だがかれらの歩幅は大きく その歩調は早す…

詩:晴れ間の急迫

行かなくてはならない わたしの足どりは重い 過去の亡霊が立ち上がってくる その亀裂が生じる瞬間が まるい調和のなかから ぎらと顔を突き出すのが 見えてしまうから 晴れた空が突然かげり 雨降る間もなく稲妻が落ちてくる その急迫が光るのを 鮮烈に感触す…

詩:胸騒ぎ

あまりにもまるい達成が続くので もしやあなたを押し切ったまま ひとり得意の終止符を発行して すましているのではないかと 疑念がさわいでおります あなたが少しばかり口をひらこうとも さらにもの言いたげな峻烈の物語が 角張らない笑顔の後ろに 匿われて…

詩:屠る歌

びりびりに引き裂いて散らばった嘆きを ゴミ箱に屠る手をためらい 胸に抱えてもう一度抱きしめる 紙屑の端にはちぎれた無数の文字が 名残惜しげに繊維のうえにうごめいた ――いやだめだ お前は 間引きされる定めの子 日陰を歩む斜陽の嘆き 見たろう かれの素…

詩:花壇の物語

長く重苦しい冬の年月は 透明な患いを吹雪にのせ ぽとりと吐息をこぼしました 冬は誰かに対して何かの意図をもって 嘆息したのではないのです ひとりでの出生でございました 歓待のまろやかな呼び声 拍手に千切(ちぎ)れる艶やかなリボンに 化かされてはな…

詩:だるまの無言

手足なく 口のきけないだるまは 地べたをころがりながら からだで詩を吐く だるまの無言は とうといんだ (2017.7.17) * 【ひとこと】 「地べたを這いずりながら」のほうがいいかなぁ? 「地べたをころがりながら」のほうが自然かなぁ? と迷いながら、今…

詩日記:普遍の掌に爆発する特殊

2000年頃から、苦しくなると詩のような言葉を吐かずにはいられなかった。自分の詩がヘタクソであることは、5、6年前からよく知っていた。2015年に作品をブログにまとめたが、それはいかにも稚拙でヒステリックな叫びだった。2016年冬、「詩」といえるよう…