詩:barrier
barrierが邪魔をするんだ
僕の前に
自分を守るために囲い込んだ
皮膚と生理が蛹のように覆った
冷たく硬い殻
barrierが足りないんだ
僕のまわりに
溢れる音を拾い集め調節し
肉体と精神を脅かすものから
均衡を保つ把手
barrierが重いんだ
僕の心に
不安と恐怖と孤独感を植えつける
開いていれば安全なのに
憂鬱には必要の門
扉を開けて一人逃げ出した
暗い部屋の奥へ
ざわめきは次第に巨大な渦となって
barrierを破りbarrierを強靭にした
barrierのためにbarrierが生まれる・・・
(2015.12.20)
『声・まっくら森』に収録