地底の声

世の中からズレてる人の書いたもの(詩・エッセイ・日記など)

〈特殊〉と〈一般〉のはざまで ―文芸社の講評に寄せて―(1)

〈特殊〉vs〈一般〉

 文芸社の講評を読んで、まず目に飛び込んできたのは、「全国流通を目指していただける内容」という文字だった。

 「無理」だと思っていた。「それを目指しては私が潰れてしまう」と思っていた。

 その理由を整理してみる。

 

 〈特殊〉vs〈一般〉。この構図に引きずり回されてきた。

 

 ざっくり書くと、私は〈特殊〉な感覚〈マイノリティ・センス〉のために、社会の中で生きる場所を失った。重い後遺症に苦しめられた。だから命の尊厳を賭けて、〈マイノリティ・センス〉を社会的に認めてほしいと訴えたのが、自家製本『マイノリティ・センス』である。

 

 自閉症者の森口さんは、最初の著書を半年かけて書き、半年かけて推敲したと『自閉女の冒険』に書いている(147頁)。なぜそんなに早く書けたのだろう。

 私は難産も甚だしかった。2017年から執筆を始め、3年かけて11回推敲した。5年もかかっていることになる。やってもやっても終わらなかった。「自分語」を乱造しなければ言いたいことを表せないなど、表現が〈一般〉向きではなかったのである。

 

 詩でも、ブログでも、私のコミュニケーションにはすべて、この構図がつきまとう。多くの人は〈一般〉の世界に住んでいるが、私は何を言っても、やっても、骨の髄まで〈特殊〉だった。

 

 

特殊と普遍