地底の声

世の中からズレてる人の書いたもの(詩・エッセイ・日記など)

詩:時の陽光

(おまえが悪い

 んじゃない

 こんがらがった糸が

 悪いんだ)

 

長い 長い争いは

鎧に覆われた

懐の内側に

深手を負わせた

血の滴る

鉄錆の心臓を

みずからの手で

切り裂きながら

(いつか 縫い合わせるのだ)

 

(深手を負ったのは

 おまえだけではない)

 

色めく 春の暖光も

鉄錆の谷間に 届きはしない

春も夏も秋も冬も

時を失った心に

躰に降る 時だけが

春を運ぶ

砂時計の流砂

の零れるような

時の陽光が

ひと砂ひと砂

鉄錆の谷間に

さらさら 降る

降る

降る

 

氷層を

ひとひらずつ

淡い日差しに

融かして