〈自己愛〉と〈他者愛〉のはざまで(5) ゾンビの影たちとの闘い
A氏に相談した。詳しくは書かないが、暴力について「あること」を言われ、胸が張り裂けるような思いをした。
衝突した。その人は、浅薄な解釈で、「あること」を言ったにすぎなかった、と判明した。和解した。
A氏にも、E氏にも、悪気はまったくなかった。
私は繊細に、複雑に、深遠に感じ、考えてしまう。一方、A氏らには、明晰な意図がない、意識がない、自覚がない、らしい……。
このことが、私と世の中がズレ、自分が病んでいく原因だと思った。
夢の中で、彼ら――「無意識の殴打」をするゾンビたちの影が、がやがやと迫ってきた。音に襲われ、叫んで起きることが増えた。
意識は過覚醒し、休めなかった(この時、詩「ゾンビ」を書いた)。
*
鬱は深かった。回復しようと必死になり、様々な手当を施した。
まず、「現在の鬱地図」を書いた。Wordにつけている日記に、鬱に陥っている原因を列挙した。
次に、「ストレスリスト」(小林弘幸の本に書いてあったやり方)を書いた。ストレスになっている事柄を箇条書きにして、程度を4段階(小、中、大、甚大)に分けた。
状況を俯瞰できるようになってきた。
解決策も考えた。机の前のCDコンポに貼った。
次に、理想の生活に近づけるように意識した。現実のタイムスケジュールの横に、理想のタイムスケジュールを並べた表を、Excelで作成した。
次に、本を読んだ。信田さよ子著『家族と国家は共謀する』と上野千鶴子著『女ぎらい』という名著に出会い、心が明るくなってきた。
次に、WEB上のメモアプリ「Evernote」に、鬱対処に効果があったことと、その程度を記録した。
次に、信頼できる、ある相談員に相談した。
治療の場で、E氏の背後にある「無意識の殴打」と闘い続けることは、できない。転院を決意した。
こうして私は、徐々に、気力を取り戻していった。
「Evernote」の記録によれば、読書の効果が最も高かったようだが、信頼できる人に相談したことが、一番癒しになっていたと記憶している。