詩:空孔
――空孔ヨ、私ヲ呼ベ
魂鳴りの奥の
重心に居座る
カルデラは巨きく
火口を開き
肉厚の ヒタヒタ震える
深淵、爆発の呼気の
発炎筒に
空隙の椅子は
背を待っていた
――空孔ヨ、私ヲ満タセ
ある時 君が座ると
日溜まりは注がれ
カルデラの口を埋めた
背凭れの形はそのまま
君を嵌め込んだ
糸巻きのような
長い長い日常
ふいと立ち去った君は
手綱を失って浮き上がる
隠匿された空孔を
再び突き出した――
――空孔ヨ、
――コレコソ我ガ座
――君デ満タスナ
――己ヲ乾カシ
――塑像ヲ創レ――
(2022.3.15)
*
【ひとこと】
十代の頃から感じていた、根源的な存在不安を書きたかった。
そのイメージを視覚的に描写しようとした。
何度も何度も書き直したが、うまくいかなかった。
象徴に象徴を重ねる結果になり、つくりもののような、非常に不安定な作になってしまった。
私の実力ではこれが限界。悔しい。